再生医療とは
体にもともとある細胞・因子を用いて組織を修復する治療法を再生医療と言います。血液には、血漿や血球(細胞)成分(血小板、赤血球、白血球)が含まれています。その中にある血小板につきましては、止血や組織を治癒させるといった働きがあります。この血小板をできる限り他の血液成分と混じらないように分離器にかけることで、純度の高い血小板を抽出していきます。これをPRP(Platelet-Rich-Plasma)療法と言います。
PRP療法とは、この抽出した血小板を例えば変形性膝関節症などによって損傷した部位に向けて注入し、この部位における自然治癒能力を向上させ、手術療法(人工関節手術 等)に頼らずとも症状を改善させていくという治療法です。当院ではPRP療法によって抽出した純度の高い血小板の成分をろ過して細胞成分を除去し、血小板由来因子濃縮物(PFC)を作成、それをフリーズドライ加工したPFC-FD™療法を行います。
PFC-FD™療法による治療が有効とされる方
- 変形性関節症(特に膝は国内外でエビデンス多数)、テニス肘などの腱付着部症、肉離れなど
- 関節が慢性的に痛み、ヒアルロン酸を長期間注射している
- 人工関節手術が検討されるような状態だが、できれば手術は避けたい
- スポーツ等によって関節を痛めている など
PFC-FD™治療の流れ
- ① 問診・診察
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関節の痛みや違和感の程度、そしてこれまでの治療についてお伺いし、PFC-FD™治療の適応かどうかを確認いたします。
- ② 採血
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患者様から自己血液約50mlを採取いたします。
こちらの血液を当院が連携しております再生医療センターへと送り、検査・加工を行います。
※血液検査、PFC-FD™の製作に約3週間ほどかかります - ③ 注射
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採血してから約3週間ほどたった後、フリーズドライ化されたPFC-FD™を関節へ注射いたします。
外来で行います。
注入時は痛みが出ることもあります。注射後、組織の修復は一週間~半年程度の期間でみられ、2週間~3ヵ月の間に効果が実感できるようになると言われています。
治療後の注意点
注射部位などに炎症が起き、腫れや痛みなどが現れることがまれに起こることがあります。現れたとしても大半は一時的なものです(一週間程度)。採血部位や注射部位に皮下出血がみられることもあります。
また痛みなどを怖がって関節を動かさないでいると逆効果になることから、関節の動きを確認するリハビリテーションを行うようにしてください。なお治療当日は、入浴、飲酒、喫煙、激しい運動やマッサージは控えます。
治療回数
PFC-FD™療法を行う回数に特に決まりはありません。早期治癒を目的とした肉離れなどに対しては通常1〜2回の治療を行います。腱炎など難治性のスポーツ障害は、効果の現れ方に個人差があり治療回数もさまざまですが、2〜3回の治療を行う方が多いです。
PFC-FD™(2.0)について
2024年4月から、加工プロセスをアップデートすることで、従来よりも抗炎症作用や組織修復作用が期待される成長因子量を多く含有し、炎症性サイトカインの量を抑えた「PFC-FD™(2.0)」を提供できるようになりました。
医師の判断のもと、治療方針や患者さまの症状のステージにあわせて、従来の「PFC-FD™」に加えて「PFC-FD™(2.0)」もご検討いただけます。
1回で採取精製した製剤の使用期限は、PFC-FD™は6ヶ月、PFC-FD™(2.0)は1年です。
●費用
自費診療になります。保険診療と同じ日に治療をすることはできません。
PFC-FD™ | 115,000円(税込) |
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PFC-FD™(2.0) | 165,000円(税込) |
注射 | 一部位につき3,000円(税込) |
※血液採取を行い、感染症検査(HIV・HBV・HCV・梅毒・HTLV‐1)で陽性反応が出た方は、治療を受けていただくことはできません。その場合、血液検査費用12,000円のみご負担いただきます。